火入れのこと

立秋を過ぎて夜風が涼しくなりましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は料理のお話。
皆さまはフランス料理、またはイタリアンを食べに行った際、メニューに「コンフィ」「ソテー」「グリエ」「ラグー」という表記を目にされたことがあるかと思います。詳しいことはわからないまま召し上がることはありませんか?これらは「火入れ」の技法名で、調理目的が違い、素材の味はもちろん、部位や状況を見て変えられています。
 
フィッシュボーンでも地元の素晴らしい素材を生かすための下処理や仕上げに細やかな火入れの工夫がされています。
例えば、鮑の下処理には芯温80℃を目安にじっくり蒸すヴァプール。骨まで美味しい鮎は、香草で香り付けした90℃の油に何時間も漬け込むコンフィ。渡り蟹は蒸した後、殻をブランデーで焼き上げ香ばしさを出し(フランバーレ)、その後ソースでじっくり煮込む(ラグー)などなど・・


ほんの一例ですが、素材,部位ごとに火入れを変えて、召し上がっていただいております。
メインディッシュの最後の仕上げにも細やかな火入れの気遣いが込められています。
私たち日本人は皮目がカリッ、中身はふっくら柔らかい食感を好みますね。両立させるために皮目側をカリッと焼き上げ焦げ目をつけ、
その後オーブンで間接的にゆっくりと火入れ。

でも・・・200℃のオーブンで火が入った直後にお出しすると熱すぎて、ナイフで切った瞬間にうまみが水分と共に逃げてしまいます。それでほんの少し温度を下げてからお出ししています。それは口に入れたとき旨味がギュッと凝縮した感じを味わって頂く為です。


折角足を運んで頂いたお客様に感動していただくため、何気ない一皿にも名画のような細やかな技法がなされています。フィッシュボーンでお食事の際には、その一口に料理人が込めた、皆さんへの「熱い気持ち」も想像して味わっていただければと思います。
 
    フィッシュボーン サーヴィススタッフ 西 啓次郎芽